ちゃん見ーっけた」
「わあ那智くん、どけて」
「やだよー。どこ行くの? 職員室?」
「そうだよ、北森先生のお手伝い」
「またA4? もうやめなよ、アホがうつるよー」
「暇な優等生はわたしくらいしかいないのよ」
「あっははイヤミだなあ。まあ事実だけどね」

「でも楽しいよ。A4のみんな明るいから」
「ふうん? たしかに退屈はしないかもなー」
「成績にこだわってるのがばかみたいに思えたりする」
「へえ、ちゃん、もしかしてそれフラグ?」
「なあにそれ」
「アホ共のうちのだれかに惚れちゃってたり」
「ふーん、面白い展開だと思う」
「はぐらかしたなー。ほんとむかつくちゃん」

「どうでもいいから早く離してよー」
「やだね、A4のとこになんか行かせてあげなーい」
「人間ちょっとくらいアホなほうがいいよ」
ちゃんもアホだからA5になっちゃうよ?」
「別にいいよ、A4といるの楽しいし」
「はあー? なんだよそれー」
「でも那智くんもアホだからきっとA6になっちゃうね」
「うっわまじでむかつくなーちゃんのアホ」

「アホでいいからはなして、北森先生を困らせちゃう」
「やだ、離さないよー」
「那智くん聞き分けがわるい」
「俺のこときらいになった?」
「なってないよ」
「あっそー。俺もちゃんのこと大好きだよ」
「別に大好きとは言ってないのに」
「そうだっけ? 心の声が聞こえてきたのかな」

「那智くんもやっぱりアホだね」
ちゃんには敵わないよ、アホー」
「アホアホうるさいなあ、もうはなして」
「やだって言ってるだろ、さっきから」
「うるさいから耳元でしゃべらないでください」
「じゃあ囁けばいい? 愛とか?」
「それはどきどきしちゃうからやめて」
「あはは、ちゃん俺に惚れちゃうね〜? 困ったなー」




「…………職員室の前で何をやっているんだお前たちは」
「あ、真壁先生こんにちは」
「あっ真壁せんせい、こんにちはー」
「お前は新任のアシスタントだろう? いつから方丈の弟と付き合ってたんだ」
「別に付き合ってないですよ」
「そうでーす、さんが俺のことを大好きなだけでーす」
「そうか。まあどうでもいいが廊下でイチャつくのはよせ」


「あーあ、ちゃんのせいで怒られちゃったな」
「どう考えても那智くんのせいよ」
「じゃあ俺も今日はA4のところ行こっかなー暇だしー」
「そう。じゃあわたしは北森先生のところに行くから」
「えーここでバイバイ?」
「うん、先にA4のところ行ってらっしゃい」

「ちぇー、ほんとに行っちゃったよ。相変わらずつれないなあ、ちゃん」




The Funny Of His Favorite (120313)























「やっほー成っちょ、今日もアホやってるかー」
「わっ、ほじょおと! 何しに来やがったんだよ!」
「なんだよー勉強教えに来てやってるんだろ〜?」
「方丈君じゃなくて、さんがね」
「あれっせんせいもいたんだ? チャオー」
「いたわよ、最初から!」

「で、はかどってんのか〜? どれどれ?」
「勿論でい! 俺様にかかりゃ、こんな問題カンタンすぎるぜっ!」
「おおーすごいな成っちょ、ぜんぶ合ってるじゃん!」
「ちょっと那智くん適当なこと言わないで」
「あっはは! だって面白くて」
「笑ったから罰として那智くんもアシスタント! ここ座って」

「ふーん、ちゃんって成っちょには優しいんだ?」
「ちゃんと勉強してる成宮くんには勿論よ」
「へー、あっそー、そうなんだー」
「もう、なに? 成宮くんの邪魔しないでよ」
「…………。」
「(あ、方丈君拗ねてる)」


「成宮くん、ここ違うよ。sinθとcosθが逆になってる」
「え? じゃあ、こうか?」
「そうそう。成宮くんは飲み込みが早いね」
「ったりめーでい! なんてったって俺様は天下の成宮天」

「はいそこ離れてー近すぎまーす」
「わっ那智くん!」
「うわっ、何しやがんだ! ほじょおと!!」
「成っちょ、勉強教えてもらってるからっていい気になるなよなー」
「はあ?」
ちゃんは成っちょのものなんかじゃないから!」
「それ、本当にはあ? だよ那智くん」
「うるさーい、でもそれ以上近づくの禁止ー」
「なんだよー?? 意味わかんねーぞ?」
「何怒ってるの那智くん」
「べっつにー」
「(分かりやすい嫉妬の仕方だね、方丈君……)」

「じゃあ今日の補習はここまで!」
「はあ〜、俺様、もうくたくただぜ……」
「成宮くんお疲れさま。また明日ね」




「ねえちゃん、放課後毎日あんな感じで成っちょと勉強してんの?」
「そうだよ。たまに土日もあるけど」
「どうりでおれとの時間が削られるわけだよなー」
「ええ? 那智くんともけっこう一緒にいるじゃない?」
「そーいうんじゃなくて……。あーあ、ほんとだめだなあちゃんは」
「なによー」
「むかつくから、罰としてハグの刑!」
「きゃっ! ちょっと、那智くん!」
「あははっ! ちゃんの驚いた顔、やっぱりいいなあ。アホみたいでかわいー」




「ったく、何をしてるんだお前ら。通行の邪魔だ」
「あっ七瀬先生、ごめんなさい」
「七瀬せんせい、こんにちはー」
「イチャつくのは勝手だが人目につかないところにしろ。変な影響が出るぞ」
「はーいせんせい、アドバイスありがとうございまーす」
「もうすでに弊害が出てるよ那智くん」

「じゃあ忠告どおり人気の無いところ行こっか? 生徒会室なら空いてるよ」
「行かない。何されるかわかんないもの」
「やだなあ、嫌がることはしないよ。おれのことなんだと思ってんの?」
「ああ、もうこんな時間。暗くなっちゃうからわたしもう帰るね」
「ちぇーまたはぐらかした! ちゃんのケチー」




The Funny Of His Favorite (120315)























「隙ありーほっぺにチュ!」
「きゃ! 那智くん!」
「あっはは、かっわいーちゃん」
「不意打ちでチューするのやめてよ」
「あれ、予告すればいいんだ?」
「覚悟くらいはするわ」
「じゃあ次からそうしよっかなー」

「? なに固まってんのさー慧?」
「い、いや…………別に、何でもない」
「あっもしかして、慧もちゃんのほっぺにチューしたかった?」
「なっ!!」
「え? 慧くん、そうだったの」
「そ、そんなことは……っ!!」
「もー、だったら素直に言わなくちゃだめじゃーん」
「慧くんだったらいいよ、ほらどうぞ」
「バッ! すっ、す、するわけないだろ! 僕は先に行く!! 遅れるなよ、那智!」

「あいかわらずピュアだね慧くん」
「っていうかちゃん、なんかおれより慧のほうが待遇良くない?」
「慧くんにはよこしまな気持ちがないから」
「なんだよそれー。分かってないなあ」
「なにが?」
「男はみんな狼だよ。そんな甘い顔してると、いつか狼に食べられちゃうよー?」

「那智くんに限ったことだとおもうけど」
「あははっ! だったら、もっとおれのこと警戒しないとね」
「そうね、少なくともほっぺにチューはもうだめ」
「慧には許すの?」
「万が一慧くんが頼んできたら許すかな」
「えーなんかむかつくー。じゃあおれは無理やりしちゃうよ?」
「いつもじゃない」
「あれ、そうだっけ? あははっ」

「だってちゃん、隙だらけなんだもん。もっかいチュー!」
「あー! なーちくんー」
「嫌がるんだ? ならもっとしちゃおっかな〜?」
「こんな廊下の真ん中でふざけてたら、また先生に怒られちゃう」
「それって、人気のないところ連れてってもいいよーってこと?」
「ああ……。たしかに語弊のある言い方だったわ」
ちゃんのそういう動じないところ、きらいじゃないけどつまんない」
「じゃあ離してよ?」
「だめでーす、それとこれとは話が別ー」




「お前たち仲いいなあ。猫のじゃれ合いとそっくりだぞー」
「草薙先生、こんにちは」
「あっ草薙せんせいチャオ〜」
「前から思ってたけど、方丈の弟はこのちっこいのが大好きなんだな!」
「先生、そろそろ名前覚えてください。です」
「おれはさんより、慧のほうがもーっと大好きですよー」
「あはは、そうだったな。まあいいけど、あんまり廊下の真ん中でイチャイチャするなよー」


「また言われちゃったよ」
「だから素直に生徒会室でイチャイチャすればいーんじゃん?」
「いーんじゃん? じゃないよ、あとイチャイチャはしない」
「おれは慧と一緒にちゃんを愛でるのがだいすきなんだけどな〜」
「慧くんにその気はないみたいだけどね」
「恥ずかしがってるだけだよ、慧は」
「そう?」
「まあおれが楽しんでるだけなんだけどね〜。あははっ!」




The Funny Of His Favorite (120315)























「今日も可愛いね、マーガレットちゃん」
「ありがとう」
「つれないところもマジで可愛いよ、ハニー」
「そう? つまんなくない?」
「マジマジドマジに可愛いよ。俺は女の子に嘘つかないからね」

「あっれー嶺っちょ、もしかしてちゃんのこと口説いてんのー?」
「ゲ、残念。もう見つかっちゃった」
「那智くん、委員会は?」
「なーんか嫌な予感がしたから、早めに切り上げたんだよねー」
「マジマジ勘がいいねえ、方丈弟クン」

「まったく、ちゃんはおれと慧のものなんだから、悪戯したらだめじゃーん」
「えっ、いつの間にそうなったの」
「あれーちゃん知らなかったの? ずーっと前からだよ〜」
「マーガレットちゃんもそう言ってるんだしい、口説くのは別に自由なんじゃない?」
「嶺くんも挑発に乗らない!」
「だめだよ、もう決まってることなんだからー」

「でもマーガレットちゃんがもう誰かのものだなんて……俺、マジショックだよ」
「嶺くん、そんなことは全然」
「そう? じゃあこの辺、俺がもらっちゃってもイイ?」
「く、唇にさわらないで!」
「そうだよ嶺っちょ、ちゃんはもう全部おれのものだよ」
「マーガレットちゃんは否定してるけど?」
「照れてるんだよねー? ちゃんカッワイー」
「あーもう鬱陶しいなあーはなしてよー」

「ていうかずるいよ弟クン、マーガレットちゃんにそんなに触っちゃって」
「へへっ、うらやましいだろー?」
「マジ超うらやましい。感想くらい教えくれてもいいんじゃない?」
「嶺くん」
「あっ怒らないで、マーガレットちゃん。可愛い顔が台無しだよ?」




「なになに〜2人でちゃんの取り合い? ポペラ修羅場っちゃってる感じ?」
「あ、風門寺せんせいこんにちはー」
「エンジェルちゃーん、お・は・よ。今日も可愛いね!」
「誤解です風門寺先生」
「ひゅ〜モテる女は辛いねちゃん! でも後腐れないようにするんだゾ! じゃあねーん」


「盛大な誤解だわ」
「泥沼突入でも、俺は別に平気だよ? マーガレットちゃん♪」
「こら嶺っちょ、ちゃんに触るの禁止ー」
「あーもーほんとに鬱陶しい、二人ともはなして!」




The Funny Of His Favorite (120315)























「慧くんノートありがとう」
「ああ、気にするな。見辛くはなかったか」
「とってもきれいだったよ。さすがね」
「そうか。それなら良かった」

「ほら慧くん、お礼にほっぺにチューしていいよ」
「ぶっ!!!」
「あれ? したいんじゃなかったっけ」
「あっ、あれは那智が勝手に!」
「なんだ、じゃあしたくないんだ」
「べ、別に、そういうわけじゃ……」
「やっぱり、昔と今じゃいろいろとちがうよね。少し寂しいな」
……」

「兄さんがしないなら、おれがしちゃおーっと。はい、チュー♪」
「わっ、那智くん」
「な、那智! おまえがそうやって、所構わずそういうことをするからっ」
「えー? でも慧なら、ちゃんのほっぺにチューしてもいいよって言ってるだろ〜?」
「だから、何なんだそれは!」
「他の男はだめだけど、慧ならオッケーってこと!」
「那智くん、それはどうしてなの?」
「おれが、慧とちゃんのどっちもすきだからだよー」

「もう、わたしたちのこと何だと思ってるのかしら」
「まったくだ。ほら、頬を貸せ」
「え? 慧くんまで」
「ノートを貸した礼、くれるんだろう?」
「なんだか、昔に戻ったみたいだね」
「そうだな。那智のせいだ」

「そういえば慧くん、那智くんのせいで女の子のほっぺにチューするのが礼儀だと思ってたからね」
「あははっ、そんなこともあったっけ〜?」
「そ、それを思い出させるなっ!!」
「慧くんは危うくプレイボーイ路線まっしぐらだよ」
「兄さんは昔からピュアだったからな〜」
「う……うるさい! 僕はもう行くぞ!!」

「あれー、兄さん行っちゃったー」
「あ、ほっぺにチューしてもらうの忘れちゃった」
「じゃあ代わりにおれがしてあげるよ〜?」
「いい。那智くんじゃ意味がないもの」
「あっそー、でも聞こえなーい」
「あーもう! やだ! 那智くん」
「減らない口はどの口かな〜? ふさぐぞー」
「いやーだー」




「なァ〜にベタベタしてんだァ? お前ら?」
「せ、仙道先生、こんにちは」
「仙道せんせい、チャオ〜」
「足元はちゃァ〜んと見て歩けよ? 何があるか分かんねーからナ!」
「え! まさかまたトラップを……」
「さァな。ケケケッ!」


「困ったなー、身動き取れなくなっちゃった」
「うーん、でも仕方ないわ。行きましょ、慧くんが待ってる」
「えー、おれ罠にかかるのやなんだけど」
「本当は、罠なんて仕掛けてないのかもしれないし」
「仕掛けてあったら?」
「七瀬先生に泣きつけば良いの」
「あー、なるほどー。って、何の解決にもなってないんだけどな〜」

ちゃんってたまに変な度胸あるよね」
「変は余計だよ、那智くん」




The Funny Of His Favorite (120318)























「あれ? 今日のちゃん、なんか良い匂いがする」
「那智くん、よく気づいたね」
「そりゃあ毎日こうやってギューってしてたら?」
「実は八雲くんが香水をくれたんだ」
「花っちょが? なんで?」
「GEのイメージフレグランスの試作品なんだって」
「…………へえー?」
「お花の匂いだよ。素敵でしょ」
「あっそー。おれは別に好きじゃないけどー」

「そう?」
「っていうか学校に香水とか、校則違反じゃん」
「那智くんだってつけてるくせに……」
「おれはいいの。でもちゃんはだめ」
「なによそれ、意味わかんない」
ちゃんはアホだから分かんないのかも」
「そんなに嫌な匂いだった?」

「やだよ。すっごくやだ。やだから早く取ってよ」
「八雲くんのくれたものにケチつけないでよ」
「誰からのものとか関係ないよ。なんで分かんないのかな」
「あ、分かったわ。那智くんヤキモチやいてるの」
「…………。」
「だったらそう言ってくれないと分かんないじゃない」
「じゃあおれがそうだって言ったら、つけるのやめてくれるわけ?」

「どうかな。これ良い匂いだし」
「…………普通そこは頷くとこだろ」
「八雲くんと香水に落ち度はないもの」
「そうかもしんないけどさあ」
「それに試作品だから、すぐ使い終わっちゃうし」

「…………はあ?」
「数回分だけだよ、香水のサンプル」

「…………それ、もっと早く言えよ!」
「試作品って言ったじゃない?」
「言っ……たけど香水って言ったじゃん!」
「言い方が悪かったのかな。なんかごめんね、那智くん」

「だめ。むかつく。もー許してあげない」
「えっ……ちょっと那智くん」
「おまえが悪いんだよ。他の男からプレゼントなんてもらってさ」
「そ、それくらい別に」
「良くない。おまえが良くてもおれが良くない」
「那智くんは独占欲が強いね」
「おまえのこと大好きなんだから当たり前だろ?」

「もうそれ、幼稚園のころから何回も聞いてる」
「おれはいつでも本気だよ」
「知ってるよ」
「じゃあ、もういいよな。早くおれだけのものになってよ、ちゃん」

「もうこれ以上我慢してあげないよ」




「トゲー」
「…………トゲー、いま、いいシーンだから。邪魔しちゃだめ」
「トゲ?」




The Funny Of His Favorite (120318)




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